ART TRACE GALLERY

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ロスト・オブジェクト

 

上田 尚嗣 Naotsugu Ueta
境澤 邦泰 Kuniyasu Sakaizawa
高石 晃 Akira Takaishi
松井 勝正 Katsumasa Matsui

 

2026/4/26(日)〜2026/5/12(火) 12:00-19:00 水・木曜休廊(※4/29、5/6は祝日のため開廊)
April 26 - May 12, 2026 12:00-19:00 Closed on Wed. & Thu. (Open on Apr. 29 & May 6)

私たちが世界のうちに見出すオブジェクト(対象)とは何だろうか。芸術作品を含め、あらゆる対象は、物質(支持体)と観念(内容)の二重性を持って私たちの前に現れてくる。例えば《ミロのヴィーナス》という対象は、石であると同時に女神である。対象におけるこの二重性は、主体における二重性、すなわち脳や身体(支持体)と精神(内容)の二重性を反映している。私たちは、物理法則に従う物理現象であると同時に自由意志を持った精神である。主観的な世界と客観的な世界は相関しながらひとつの全体を構成している。しかしこの二つの世界の統合は私たちの大きな課題となっている。

現実を探求するリアリズムはしばしば、対象から主観的な要素を排除することで客観的なものを目指す。例えば《ミロのヴィーナス》という対象から女神という観念や表象を排除すると、客観的なオブジェクトが露呈してくる。しかし客観と主観、オブジェクトとサブジェクトは相補的な構造をなしており、オブジェクトがフィジカル(物質的)なものに還元されればされるほど、サブジェクトはメタフィジカル(形而上学的)なものに昇華されていってしまう傾向にある。一方にはあらゆる観念や意味から解放された未規定の対象世界があり、もう一方にはそれを意味づける神秘的な主体が存在するという図式が根強く私たちを縛りつけている。客観的な対象は現実そのものではない。客観性(オブジェクティビティ)を探求すればするほど、統合的な現実は遠のいていく。

したがって、私たちが取り組むべき重要な課題は、明快なオブジェクトを見出すことではなく、オブジェクト/サブジェクト、主観/客観という分離構造を統合的に世界を把握する道を探求することだ。シュルレアリスムの「ファウンド・オブジェクト」が、対象の出現を通してオブジェクトとサブジェクトを相関的に発見する経験だったとすれば、「ロスト・オブジェクト」は対象の喪失を通してオブジェクトとサブジェクトが統合した世界に接近しようとする試みだ。不完全な形で対象化された「客観的な現実」が消失する時にはじめて、その背後に覆い隠されていた絶対的な現実は露呈してくるだろう。それは、対象と主体の輪郭が不安定に崩れていく経験を通して、はじめて示唆されるものなのだ。

このプロジェクトは、アーティストと研究者が、展示、印刷物の発行、イベントを行う。そして、オブジェクト、タブロー、テキストなどを媒介にして、「オブジェクト」と「客観性」を超えた世界について探求してみたい。

関連イベント

「1970年代のロストオブジェクト―穴・脳・絵画」

開催日:2026/5/3(日) 17:00〜19:00
登壇者:高石晃、松井勝正 
イベント詳細は「こちら」からご確認ください

「ロストオブジェクトについて」

開催日:2026/5/10(日) 17:00〜19:00
登壇者:境澤邦泰、中島水緒、松井勝正 
イベント詳細は「こちら」からご確認ください

 

イベントはいずれも参加無料です。 イベントに参加を希望される方は、当日、17:00に会場にお越しください。

※イベント開催時間帯は会場での作品観覧が制限される場合があるためご注意ください。

展覧会詳細・プロフィールはこちらの「展覧会特設ページ」で詳しくご確認いただけます。 


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